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演じ屋 reDESIGNのshioooriのレビュー・感想・評価

演じ屋 reDESIGN(2019年製作の映画)
5.0
この映画は一体何をリデザインしているのか? あなたはいくつ見つけられるだろうか…?
…ベタな書き始めですいません。俳優やストーリーについては既に素晴らしいレビューがあったので、私はこの映画の"役割"の部分で思ったことを書こうと思います。

まず言っておきたいのが、この映画は、実はある企業のプロモーションを意図した映画でもあるということ。
タイトルの『reDESIGN』にもある「リデザインクローゼット(以下、リデクロと表記)」という洋服のお直し店は、現実世界にも実在します。
この映画の発端は「企業のプロモVTRを作るのに、どうせなら面白い映画を作りたい(凡人の私にはちょっと何言ってるのか分からない)」という社長の想いを、野口監督が引き受けたことにあるらしい。私はそれをお二人の対談動画で知り、その柔軟な発想に驚くと同時に、正直ちょっとためらう気持ちが出てしまいました。
なぜなら、企業のプロモーション映像をわざわざお金を出してまで観に行く必要があるのかな?と一瞬…ほんの一瞬、思ってしまったからですごめんなさい。
しかし、ミーハーな私は結局俳優さん目当てで観に行き。そして感想は……

嫌味なこと思ってごめんなさーい!!!!(土下座) 映画として普通に、いや、かなり!!面白かったでっす!!!!!
肝心のリデクロに関しては「あぁ、映画に出てきたお店だね」ぐらいの、ごく自然な感じ。むしろほとんどプロモーションになってないのでは???と心配になったほど。

でもよくよく考えてみると、映画の土台にはどっしりリデクロの企業理念がいたことに気付いて、衝撃を受ける。。

映画が始まって第一声「服は生まれ変わる。一度は価値がないと思われていた服も、輝きを取り戻す瞬間がある。そして服は生まれ変わる」という店長のセリフ。
小説の書き始めもそうだけど、第一声ってのはその作品の"顔"だと私は思っています。その"顔"の部分がまさに、リデクロの企業理念になっていたのです!(リデクロHP参照)
洋服のリデザイン、人生のリデザイン…
その"顔"をベースに、巧みに物語は紡がれていく。

まさに、一企業の企業理念が心響かす映画作品へと巧みに"リデザイン"されていた!!(最初の問い掛けの答え的な)
この映画には、その企業の語るべき魅力がちゃんと凝縮されていました。企業プロモーションとして、これ以上のものはないと思います。

野口監督をはじめ、この映画の制作陣が成し遂げた「企業を映画へとリデザインする」という偉業には驚きました。
彼らの手にかかれば、吉野家の「うまい、やすい、はやい」でさえも、最高の映画にリデザインしてくれるのではないかとさえ思えてくるほど。

しかし大変残念なことに、現時点ではまだ続編の目処が立っていないらしく。
これからも楽しみに待ち続けます!!
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