ねまる

リベンジャー・スクワッド 宿命の荒野のねまるのレビュー・感想・評価

3.7
BLACK'47

タイトルが全然違うじゃない。
1847年アイルランドは飢饉によって、国民の4人に1人が消えた。飢餓で亡くなる、アメリカやイギリスに移住するなどによって。アイリッシュ系の移民がアメリカ映画によく出てくるのは、この飢饉の影響なのかと、自分の無知さを痛感した。

「貧困の原因は、飲酒と軽率さだ。
 >不作が続くこともある
不作も人々の性質が表れている。簡単な作物ばかりに頼るからだろ
 >少ない土地で大勢を食べさせなきゃ
じゃがいもは甘えた農家の作物だ」

このじゃがいもの裏には何が隠されていたのか、ポープ大尉が後に知ることになる場面も良い。モノクロのように曇天な映像でも輝く赤い制服、上質なロングコート、キラキラ光る髪の毛が彼の生い立ちを物語っていた。
自分が知ってる世界でしか物事を見ようとしていなかった裕福な青年が、教科書や本の文面でしか知らなかった青年が現実を目の当たりする瞬間。

家族を殺された弱者が、強者に復讐するのは殺人罪
でも強者に復讐した弱者を殺すのは正義
ぶつかり合うのは戦争。

なんという言葉で表すかでその見え方は恐ろしく変わる。
弱者の正義はどうしたら果たされるのか。

知った気になることは恐ろしい、傲慢になってはならない。教科書も、本も、映画も、ネットも、知らないことを知る助けにはなるけれど、それで分かった気になってはならない。
そこには実際に生き、苦しみ、血や涙を流した人たちがいる。今も尚痛みを抱える人たちもいるのかもしれない。




ネタバレ
真っ赤な制服を着て、1人馬に乗り、今にも落ちそうにトボトボ歩いていくポープさん。
彼は背中にイギリスのプライドを背負っているようだった。よたよたになりながらもその制服という誇りを纏い進んでいるのだろう。

今すぐ仕留めることは可能だが、復讐の連鎖をそこで止め、新たな地に向かうことを選ぶラストに僅かながら希望が見えた。
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