utatane

大コメ騒動のutataneのレビュー・感想・評価

大コメ騒動(2019年製作の映画)
2.2
この作品は少し微妙…
なんとレビューしてよいか迷ってます。

まず、どれだけお腹が空いたとはいえ、米蔵に忍び込んで盗みを働いてよいのか、又、少しずつでも出し合って厳しい生業の家庭を救ってやる事ができなかったのか…
何もしてやらなかった人達、米が無いと言いながら助けを断った者たちが米問屋に押し掛けて抗議する事に正義があるのか…
今ひとつ納得できませんでした。

そして、米が高騰して買えなくなったら、米を安く分けてくれと言う前に、米を買えるように給金をあげて欲しいと訴えるべきではなかったか…
米の高騰は時勢の影響で仕方のない事なのだから、きちんとやった労働に対する対価をまずは堂々と訴えるべきではなかったのか。

貧富の格差、不況下の物価上昇であるスタグフレーションを問題にするのであれば、労働者として正々堂々の主張をするたくましさがあっても良かったのではないのかなと思ってしまいました。

でもこの作品の見どころは、その様な迷いを吹き飛ばす様に、純粋な感情に直接訴えてくる女性たちの強さが際立っている様に感じました。
それを見事に演じ切った井上真央さんが、ひとつ殻を破って演技の幅を切り拓いたかの様に見えたのは私だけなのかな。

旦那が出稼ぎから帰ってきた家はひと安心ながら、そうでなかった家庭は何も変わらず苦しい日々が続くなら、オープニングから何も変わっていない様でちょっと釈然としないままのエンディング。それが冒頭に書いた微妙な違和感に繋がっているいるのかも知れません。
utatane

utatane