うめ

空に聞くのうめのレビュー・感想・評価

空に聞く(2018年製作の映画)
3.8
東日本大震災をどう伝えるか。ドキュメンタリー映画は毎年のように作られている。その中で毎年複数の被災市民を継続取材している古波津陽監督の「1/10fukushimaをきいてみる」はテーマも取材もまったくブレず、かなり見応えがあり毎年楽しみにしている。
この作品はそれと同じ目線を持って伝えようとしているように思う。
被災者ではない僕たちは何かを通してしか知ることができない。意識的であれ無意識であれ、そこには誰かの思いや解釈ややり方がある。そうしたものをなるべく濾過して純粋な成分だけを抽出することはできないのか。それが正直なところなら、わからないものはわからないものとして、でいいのではないか。もしかしたら、そういうところに本当のことが存在するのではないか。そんな空気感。優しい視点。ラストの通り抜ける風の心地良さが揺るぎない監督の姿勢を物語っている気がした。よくぞ作ってくれました。
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