このレビューはネタバレを含みます
役所広司やばいなあ。映画見終わった今となっては三上さんにしか思えない。
およそ30年刑務所で過ごし、殺人罪で13年の刑期を終えた三上(役所広司)が、苦手とする世の中に出て、もがき苦しむ物語。
タイトル『すばらしき世界』は秀逸。我々が築き上げたすばらしき世界は、三上さんにとっては息苦しい。
全く不器用ながら、勧善懲悪に努める三上さんが生きる世界は、取材記者津野田(中野大賀)には時に眩しく映る。
少なくとも、就職が決まったお祝い会の場において、”逃げるが勝ち”論になった時、少なくとも津野田はそれでいいとは言えず、言いよどんだ。
ここ!
映画見てると、こういうシーンでグッと来ちゃう!言おうとして言わないw
言おうとして言わなかったことが気になって、映画の帰り道で、色々考えながら帰る。これが醍醐味。(欲を言えば誰かと一緒に見て、色々話したいが…w)
個人的には『男をつらいよ』シリーズを思い出したかな。あの、やくざ者寅さんが現代でカタギの仕事に就こうとして奮闘しているようにも。三上さんであり、寅さんであり、本来我々が発揮しても良いであろう人間臭さが溢れてる。
あと、記憶したいなー、て心に刻み込まれるセリフが多かった。心に刻み込まれたハズが、ほとんど忘れてしまう自分が悲しい💦
長澤まさみが言った「最後まで撮るか、途中で助けに入るかしなさいよ!」は津野田の心にも自分の心にも刺さったw
見た目と内面が異なる登場人物の描き方とか、それでもこの世界は捨てたものじゃないぞ、て感じの三上さんを支える人々の描き方も自分の好み。
最後のシーン。橋爪功妻、梶芽衣子が三上さんに作ってもらったバッグを胸でギュッとしてて涙が止まらんくなってしまった。