こやま

すばらしき世界のこやまのレビュー・感想・評価

すばらしき世界(2021年製作の映画)
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まずタイトルについて
観る前に何となく皮肉が込められた内容なんだろうなと予想。
結果としては当たっているし、当たってないといったところ。

この作品は今の社会を体現した物だなと、強く共感した。
社会は簡単に人を見捨てるし、受け入れてくれる。
三上は刑務所から出てきた当初真っ当に暮らしていた。
そこでおそらく情けのような動機で、様々な人と繋がりを得る。
しかし、三上は内に秘めた凶暴性を断ち切れずに解放する事になってしまった。
それによって社会が三上を拒絶し始める。
しかし、些細なきっかけから真っ当に生きる事を決意すると、周りからの優しさに包まれることになる。
ここがこの映画のメッセージの8割を占めていると感じた。
真っ当に生きてれば、社会は受け入れてくれる。裏を返せば、真っ当でなければ簡単に排除される。

しかし、この映画はこれで終わりではなかった。
もう一つメッセージがあるとすれば、上述した社会の裏には闇を孕んでいるということ。
介護施設でのいじめのシーン。
三上は真っ当に生きるという事は、見て見ぬふりも必要だという事を知った。
最後にちらっと描かれていた部分だが、優しさだけじゃ生きていけないこの社会を体現していて、凄く悔しい気持ちになった。
それがこの映画のタイトルが半分皮肉に感じたところ。
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