号泣兄さん

すばらしき世界の号泣兄さんのネタバレレビュー・内容・結末

すばらしき世界(2021年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

役所さんと仲野太賀さんの「表情」と「佇まい」に圧倒的な魅力を感じました。

あとは、全体的に、良い意味で
深く考えさせられる余白を残した表現だな、と感じます。

養護学校での三上の表情と、号泣の理由。

背中を流す津乃田の表情と、背中越しで画面には映らない三上の表情。

悪気はないが悪意に満ちた、ごく日常「ありふれた会話がエグる心の傷の深さと、それを耐える苦悩。

あべ君にコスモスをもらう三上の喜びと悲しみどちらともとれる泣きっ面。

周りの「素晴らしき」人々に救われて、変わっていく三上が、最後の空をどのような気持ちで見上げていたのか。

あのエンディングのあと、
津乃田は三上の話を書き上げて、みんな集まって三上がいかにどうしようもなく短気で真っ直ぐだったかを肴に酒を飲んだのかな、とか。

いろいろ回想と想像を巡らせてたら、エンドロール中に一番泣けてきました。

切ないけど、良い余韻が残る「素晴らしき映画」でした。

とくに仲野太賀さんの映画を、他にも見てみたいなと思いました。

※前提として、いかなる理由があるにせよ犯罪はダメだと思います。暴力や違法行為は肯定できないし、言ってしまえば三上の境遇は母に捨てられたこと以外は全て自業自得。なので、そこは共感できません。
でも、犯罪、違法行為だけがダメというより、人に迷惑かけたり、傷つけたり、裏切ったり、欺いたり、見下したり、犯罪じゃなくてもそういうことは、してはいけないと思う。

何が正義か、は人それぞれ、その立場で違うわけ。たとえば、犯罪になることでも、それが自分の正義だと思ってやる人もいるかもしれない。愛する人の敵討ちとか?

だから「正しい」こととは何かは言えないが、

少なくとも、誰かのためになることをしよう、誰かを傷つけたり迷惑かけるようなことはしないようにしよう、そう思う今日この頃です。