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すばらしき世界のnomoreのレビュー・感想・評価

すばらしき世界(2021年製作の映画)
3.5
11本目/2021年

自分が普段生活する中では見えないような、関わりがないけど確かに実在するであろう人にスポットライトを当てていて、リアルな苦難が描かれていたのが新鮮。リアリティに特化した価値のある映画。
主人公(三上さん)の周りに集まる人達が、どんなに怒鳴られたりしても見捨てないで手を差し伸べ続ける所がまず良かった。

【印象的なシーン】
①津乃田が長澤まさみ(TVプロデューサー)に怒られるシーン
 元ヤクザが喧嘩で暴れまくる危険な状況で、自分だったら怖くて逃げ出してしまうと思う。そんな中長澤まさみの「止めに入るか、それが出来ないとしたらジャーナリストとして撮影し続けて世間に伝えるか、せめて2つのどちらかにしろ」「カメラ持って逃げるようなやつが一番社会の中で役に立たないんだよ」という核心を突いたセリフが印象的


②就職した介護施設内でのイジメを見て見ぬふりをする事を決めた際の葛藤
 これまでなら間髪入れずに殴り掛かっていたシーン。
社会で上手く生きていく為には見て見ぬふりをするのが正解なのか?何が正しい生き方なのか?そんな問いを投げかけられた気分。職員達に苛立ちを覚えながらも耐えて愛想笑いをする三上さんの覚悟が切なかった。
三上さんが自分の正義を曲げてでも社会で生きていく事を決意した直後だっただけに、亡くなった場面は辛かった。

本当に不器用だけど、自分が正しいと思った事に対して後先考えず行動に移せる「自分なりの正義」を持ち合わせている人は素晴らしい。ただ争い事に関してもう少し上手く立ち回れる大人な対応が出来る人だったら…
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