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すばらしき世界のstaysweetのレビュー・感想・評価

すばらしき世界(2021年製作の映画)
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せつない。いや、あたたかさも希望もあるんだけど、不器用で、つらくて、ままならない。

役所広司、すげーのに、そのオーラが出てない、きっちり時代に置いてかれたおっさんがそこにいる。品があるとも見せないけど、それなりにやっぱり品があるからいいんだと思う。引き合いに出して申し訳ないけど、この役がマキタスポーツだったり泉谷しげるとかだったら、もっとキツい一本になってたんだと思う。

そのマキタスポーツ、六角さん、緑子さん、さすがですね。結局いちばん良くしてくれたの六角さんじゃないのかな。出来ることが増えたり話せる人ができたりするのって、救いだなあ。

そして仲野太賀、さいきんめちゃめちゃ出るねえ…一時期の池松壮亮の仕事ぶりをもうちょいポップよりにした感がする。無骨な男キャラの中にも幅があっていい。あと、薄すぎない存在感がありつつの主張しすぎない顔。メガネとヒゲがあったとはいえ、ドラマで見てた顔と全然ちがった。むしろハマケンかハマ・オカモトに似てた。


元組員とかテレビ取材とかの設定やエピソードはあっても、描くのはそういったことや、ましてそれらへの批判などでもなく、一貫して三上という男の出所後の人生と、その向こうに見え隠れする彼の背景。社会的構造についても考えさせられはするが、そんなお題目よりもっと感じるのは、居場所や存在意義について、かな。
かなしいという言葉に、哀しいと愛しいの両方(とそこからさらにはみだす何か)の文字が浮かぶような気持ち。
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