ねこまるキャット

すばらしき世界のねこまるキャットのレビュー・感想・評価

すばらしき世界(2021年製作の映画)
3.6
『極道』×『更生』
殺人罪で人生の大半を刑務所で過ごした男が出所し、シャバで生きていこうとする話。

社会で生きていくための"普通"という常識にフォーカスした作品。

世の中に対しての不満や汚い部分をリアルに描いているので、見ていて気持ちの良い作品ではありませんが、見終わった後にあれこれ感想が湧き出てくる。

普通はこうするという事が、自分の中のモラルに反していても、そうしないと上手くやっていけない世の中だから、その普通に合わせなくてはいけない。

すぐに頭に血が上り理性を抑えられない主人公が葛藤し、社会の常識に合わせていこうとする様は、誰しもが共感出来そう。

現実逃避、逃げる事も大事だというメッセージ性は気持ち良く刺さるものではないが、とてもリアル。

すばらしき世界で生きていくためには妥協や損切りは必要。

弱者が強者を打ち倒す逆転劇、スカッとする作品として見ると期待外れになってしまうので注意。

こういった作品も、今みたいにエンタメが無料で楽しめまくる世の中になればなるほど、何も響かないという人が多くなっていくのかなと。

それこそすばらしき世界なのかもしれませんが。

それにしても役所広司は本当にこういう役がハマりすぎ。

未鑑賞で興味があれば是非🐈