仲野太賀の出てる作品をちょっと追いかけてみようということで、こちらを観たのだけど、もちろん彼の演技も素晴らしかったが、映画自体もとてもよかった。
長きにわたる獄中生活を経て一般社会で堅気として生きようとする三上という元暴力団員に立ちふさがる様々な壁や負けそうになる心。そしてようやく仕事を得て働き始めたこの世界は、果たして本当に「すばらしいもの」なのだろうか…。
とっても考えさせられる映画でした。前半の長澤まさみのセリフにもうなったし、後半の介護施設での話が一番胸にきたな。三上さんのような真っ直ぐだけどそれゆえ社会になじめず、はみ出してしまった人に、柱の陰からこちらの社会の恥部をじっと見られている気がした。あんたたちのいう素晴らしい世界ってこれなのか？と。
だけど、三上さんの周りには三上さんのことを本当に思ってくれる人もいてくれる。それはとても幸せなことだ。それは三上さんにとってはすばらしき世界だ。
社会にはいい人もいて悪い人もいて、色んな人間がいる。その一人ひとりの人格だっていい面もあれば悪い面もあったりして、社会ってそうして日々成り立ってる。だから自分が大事に思う人、自分を大事に思ってくれる人を大切にして、ささやかな幸せを祈りながら日々生きていけば、せめて自分の周りだけでもすばらしき世界にしていけるかもしれないなと、じんわり思った、よい映画だった。
