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すばらしき世界のChainandcoのネタバレレビュー・内容・結末

すばらしき世界(2021年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

A型のインフルエンザにかかったついでに鑑賞。

以前、似た題材の映画を観た気がするけれど、それは現実味を感じられなくて全く入ってこなかった。

でもね、この映画は違いました。

殺人などの罪で、人生の半分以上を刑務所の中で過ごした田村明義さんという人物を主人公にした小説「身分帳」を原案とした映画。

この映画を鑑賞後、監督のインタビューが聴きたくて検索するとSpotifyのポッドキャストで監督のインタビュー+24年間獄中にいた男のこえ~昭和63年放送「戸籍のない男」が聴ける事を知り聴きました。
人に委ねる余白を作ってある作品ではあるけれど、監督の考えと モデルとなった田村さんの人となり等を知る事ができるのでオススメです。

※内容の感想は他の方に任せます

それはさておき、恐らく大半の方が気付いていないポイントがあるので少し説明させて下さい。

そのポイントとは

" 終盤 コスモスを受け取るシーンから始まる
挿入歌 間奏曲カヴァレリアルスティカーナの使い方 "

コスモスを受け取った後から流れる、美しい旋律、なんとも悲壮感が漂っていませんでしたか?
この映画で使われているカヴァレリアルスティカーナはオペラの中の一曲なのですが、この挿入歌は オペラ カヴァレリアルスティカーナの間奏曲で、楽曲説明としては

「のちに起こる悲劇を静かに、暗黙のうちに感じさせてくれる音楽」

とあります。
用は、" この後悲劇がありますよー "
と、音楽を通して無言で伝えてくれてる効果がある楽曲という事なんですね。

更に、コスモスを貰う時の一言も恐らくリンクしていて
福祉施設のコスモスボーイの一言

「嵐が来る前に切り取ったんだよ」

その一言も楽曲説明になっていると私は感じました。
嵐が来る=鎮魂歌が始まります。的なね。
※鎮魂歌=レクイエム

結末もカヴァレリアルスティカーナにリンクしていて鑑賞後鳥肌が立った。

この映画に関係ないけれど、音楽の使い方はキューブリック版のシャイニング 冒頭で使われていた ベルリオーズ作曲 幻想交響曲 断頭台への行進の使い方より数倍好み。

個人的な意見だけれど
カヴァレリアルスティカーナは編曲せずに原曲ピアノ伴奏のソロが良かったと思う(演奏者はベスト)変に揺らされるから聴いてて酔った。
しかし、音楽に詳しい人にはネタバレになりうるから、すぐに悟られたくないという理由かもしれない。
恐らく、後者だと思う。

個人的に嬉しかったのはトロンボーンがスーパートロンボーンの中川英二郎さんだった事。
抜かりない。 
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