まさか感動する話だとは思ってもみなかった。
ヤクザを題材にした最近の映画にありがちな「今の時代ヤクザは生きづらい」というテーマだけに収束せず、ひとりの人間が抱えるであろう現代での生きづらさを見てるこっちの心が痛く感じるほどわかりやすく描かれていてとても良かった。特に、仕事が決まった帰りに家路を走りながら「シャブ打ってるみてえだ」と言っていたシーンがとても印象的だった。
都合の悪いことを見て見ぬふりをすることがこんなにも辛いことで、しかし皮肉にも現代を生きるにはそれが必要であると思い知らされる。三上さんの周りの人たちはみんなとてもいい人ばかりで、彼等も三上さんの実直すぎる性格に惹かれて支えてくれてたんだと思う。元来の実直さを持ち合わせつつ、暴力以外の解決方法を知ればもっと器用かつ誠実に生きることができるのかなと劇中で感じ、その後の展開で堅気の人間として生きていく最中で器用さを身につけていく過程が観れるのかなと期待していた分ラストの展開にはかなり驚き、人生の儚さを感じた。
