飽田

すばらしき世界の飽田のレビュー・感想・評価

すばらしき世界(2021年製作の映画)
4.3
「人生のレールを一度外れても
懸命にやり直そうとする男が見た、新たな世界とはーーー。」
終盤、介護施設での一幕にこの文言が集約されてると思った。

知的障害の職員を虐める2人。
三上が施設内で内職をしてると2人がやって来る。
話に因ると、利用者の入浴中にゲームで遊んでいて溺死寸前だった事が発端だった。
更に『前科者とかIQ低めとか多いって聞きました?そういうの雇うと国から金が貰えるらしいんだけど、モラルは低いし覚えは悪いし、割り食うの現場すよ』と続け、尾ひれ背びれを付けながら悪口を続ける。

本来の三上だと目撃した時にタコ殴りにしていたが悪口の場でも引き下がった。
やっと漕ぎ着けた職場を失う訳には行かない。

仕事が決まった時の祝いの席で皆が『私達ってね、もっといい加減に生きてるのよ』『向かって来ても受け流すんだよ、耳塞ぐ、聞こえない。』
普段、正直さ の裏返しで身勝手だった三上の輪郭を鮮明にする対照的なセリフ。


タイトルの「すばらしき世界」
どうしても皮肉に聞こえる。

西川監督は「そもそも世界はすばらしい、の一言で片づけられるわけがない。だけども身寄りもなく仕事もない中で何とか自分の人生を立て直そうとする彼の人生に、皮肉ではあるけども『すばらしき世界』とタイトルをつけた」
飽田

飽田