Morohashi

すばらしき世界のMorohashiのレビュー・感想・評価

すばらしき世界(2021年製作の映画)
4.5
何をもって「すばらしき」世界と呼ぶのか。
誰かが手を差し伸べてくれる世界なのか。
法律がまともに機能し、まっとうな人が評価される世界なのか。
暴力団が排除されて、生きやすい世界なのか。

タイトルに多様な解釈が生まれる映画だと思った。
それだけに、とてもよくできている映画とストーリーだと思った。

日本の学校教育の大前提として、こういうふうに社会の網目からもれてしまう人を1人でも少なくすることが目的にある。
社会が社会であるためには、大多数が恩恵を享受できる仕組みが必要。マイノリティが様々あることは承知の上で、マジョリティを狙って例外をすくい上げるような仕組みにしないと、社会が機能しなくなる。
もし「みんなOK」を前提としていたら、とてもじゃないけれど公共制度は破綻してしまう。


さて、この映画、あのおじさんがお母さんを探し求めるっていうのがとても切ない。
校庭でサッカーをしていた少年に、恥じらいもなく縋るように泣く姿は、言葉はなくとも胸が締め付けられる思いがした。

少し「私は、ダニエル・ブレイク」に似ていると思ったけれど、もしかしたら他の人も同じように感じたんじゃないでしょうか。
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