再鑑賞。
人生の大半を刑務所で過ごしてきた三上にとって、社会(シャバ)は生きづらくて窮屈な世界であるという現実。制限のある塀の中の方が彼にとっては生きやすい住処であるとは皮肉だね。前科者が職に就くことの難しさが嫌というほど描かれててズッシリ響く内容だった。ただ三上という人は決して極悪人ではない。短絡的で気性は荒いが良いところもある。むしろ正義感が強すぎて、小さな悪を黙って見過ごすことが出来ない。そんな融通の利かないところが余計生きづらさに繋がってしまう。でも逆を言えばこの小さな悪を見ないふりをして生きているのが賢いのか？と西川美和に目の奥を覗きこまれているようで居心地が悪くなった。
社会から零れ落ちそうになる三上に手を差し伸べる市井の人々。生きづらさを抱える人間に寄り添う普通の人たちの温かさにこちらも救われる。 適材適所、登場する役者達がそれぞれに素晴らしい。短気で喧嘩っ早い役所広司に懐かしさを感じ(私は福岡出身なので)、マスメディアにどっぷり浸かった露悪的な長澤まさみ、人間味溢れる六角精児、キムラ緑子もカッコよかった、姐さんのセリフに泣いたよ。生きるってホント大変。北村有起哉や田村健太郎も光ってた。
やっぱり私は西川美和が好きだー！次回作が待ち遠しい。
