やまだあらい

すばらしき世界のやまだあらいのレビュー・感想・評価

すばらしき世界(2021年製作の映画)
3.5
「三上よ、ここで死んじゃあダメだよ!やっとスタートラインに立てたんじゃないか」と視聴者総立ちでそう突っ込まずにはいらなれない結末にエンドロールを眺めながら呆然としてしまいました。


「全ての物事をいちいち解決できるほど人間は強くない」「逃げたっていい、勇気ある後退も手段のひとつ」「今自分にとって1番大切なことに集中すればいい」
介護職のパートが決まった三上を祝う会で身元引受人の橋爪功演じる先生が言っていた言葉がとても印象的でした。シャバで生きるということは、拳銃も持たなくていい殴り合いも怒鳴り合いもしなくていい代わりに「日々様々起きる理不尽な物事に対して上手く折り合いをつけて生きていくということ」なのだと。それはヤクザに限らず我々も同じなんだと感じました。

出所直後の浦島太郎状態の三上、ヤクザの肩書きのせいでなにもかも上手くいかない情けない三上、チンピラと喧嘩する時の三上、なんとか仕事が決まって前向きになリ始めた三上、全ての三上を役所さんの七色の演技で見事に演じ分けていて本当に素晴らしい役者さんだなと感じました。
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