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ファンシーのjamのネタバレレビュー・内容・結末

ファンシー(2019年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

無性に永瀬正敏が観たくて、通りすがりのテアトルに吸い込まれるように入ってしまった。
以前、チラシを見たことはあったけれど、予備知識はほとんど無し。


寂れた温泉街
訳ありそうな彫師
そこだけ異質な詩人の館


後から調べたら、窪田正孝演ずる"南十字星ペンギン"は、原作の山本直樹の漫画ではほんとうのペンギンだとのこと。
人間としたら、相当不思議ちゃんな部類に入るけれど。ペンギンと人間の合いの子、くらいには見えてくるから、それは窪田正孝の醸し出す独特の雰囲気がなせる技


まるでその土地の空気がそうさせているかのような
薄昏い影を携えた人たち
彫師が昼間勤務する郵便局の面々
彫師の後輩のヤクザ兼ホテルの社長

そこに新たな異分子
詩人である南十字星ペンギンのファン"月夜の星"が半ば強引にペンギンの妻になると押しかけ、奇妙な生活が始まって…


寡黙な永瀬正敏はほんとうに良い…
年齢を重ねた滋味みたいなものが滲み出てくる。
たとえそれが、影のある彫師であっても

はじめから無理があった、月夜の星とペンギンのままごとみたいな結婚生活
反りが合わないと思っていた"郵便屋さん"との情事から、彼女は女として目覚めて。

脇を固める田口トモロヲ、吉岡睦雄の郵便局員の裏側
ヤクザのイザコザ

ああ、確かに山本直樹の世界。

雲間から見える月の蒼白い光が見ている…
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