おもち

プラットフォームのおもちのレビュー・感想・評価

プラットフォーム(2019年製作の映画)
3.9
 スペイン発のシチュエーションスリラー映画。イバン・マサゲ主演。
 主人公が目を覚ますと暗い部屋におじいさんと二人きり、ここでは一日一度上から上層部が食べた残飯が下りてきて、食べられるだけその残飯を食べ、さらに下層の人はその残飯を食べていく。当然上層ばかりが腹を満たし、下層の人たちは食べるものがなにもない。そこで同室者のおじいさんはある事をして飢えを凌ごうと考えるが...。

 ありそうでなかった新発想の作品だった。ひとつの超豪華な食事を数百人が順番に食べていくという単純明快なルール。さらに一ヶ月に一度住む階がシャッフルされるので、昨日たらふく食べられたと思ったら今日は空き皿しかない層へ転落したりを繰り返していく。
 食べものがなく精神崩壊していく姿を追うのはかなりの恐怖感。耐えきれず身を投げる者や、ルール違反をして焼け死ぬ者、この施設にいるらしい子供を探して自ら食事台に乗って下層に降りていく者と登場する人間みんなにそれぞれのドラマがあった。特に最初のおじいさんがキャラが立っててグッド、こういう系ではあるあるの周回してるヤツ。
 「クソは上向きに出来ない」という台詞が印象的。食べ物の量はかなり多くて、第一層から必要な分だけ取り分ければ最下層の人も食べられるはずなのに下の気持ちを知りながら食べられるだけ食べてしまう上の人。自分より上にいる人が絶対先に食べるからいくら下が文句を言おうとどうしようもないという感じ、社会の縮図、貧富の分配とか利己・利他主義に繋がるメッセージ性の強い映画だったと思う。
 グロテスクな描写が結構あって画的にもウマイ。なんとなくキューブやSAWなんかが頭によぎるぐらい完成度は高かった、オススメッ!
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