けーすけ

プラットフォームのけーすけのレビュー・感想・評価

プラットフォーム(2019年製作の映画)
3.2
ゴレンが目覚めたのは48層目だった。塔のような建物の中、その部屋には真ん中に大きな穴が空いており、毎日上層階から食事が下りてくる。しかし上の階層の者が先に食べる為、残飯のような食事しか残っていない。だがゴレンの層の下にも永遠に続くかのように層は続いている。一ヶ月おきに階層はシャッフルされるというルールの中、ゴレンは生きて帰れるのか・・・







なんてこったパンナコッタ…。

フォーブス誌が発表した2021年版の世界長者番付ではAmazon創業者のジェフ・ベゾス氏が1770億ドル(約19兆2900億円)もの資産を持っているらしい(1億円でいいから恵んでほしい←)。
片や世界にはその日の食べ物や飲み水すらない生活を強いられているいる人も多くいるでしょう。

まさに上層と下層の違いの悲惨さを描いたような本作、なかなか強烈でした。
そしてずっと同じ部屋の中というワンシチュエーションものですが、次が気になる見せ方で最後まで面白かったです。

殺人、人体損壊、カニバリズムといったキツめエグめの描写がありますので苦手な方はご注意を。



ゴレンが最初に目覚めた48層では、見た目は完全に残飯だがかろうじて食べられる程度の食事が来る程度。部屋の状況は監視されており、食べ物を取っておこうとすると部屋の温度が上がり熱さで死ぬか、温度が凍死するレベルに下がるという設定。


上層の者ほど優位で好き放題食べ散らかすのは、まさに集中した富を持つお金持ちの風刺のよう。
劇中では「1人が必要な分だけ食事を取り分けて食べれば、最下層まで届けられる」といった話も出ていたけど、上層の者がそんな事をするわけもなく、皆が空腹に負け貪り尽くして下層では皿しか残っていない状況に。

しかし仮に本当に全員が必要最小限の物だけを食べたとして、最下層まで届ける事ができるのか。
個人的には富の分配を人類全員に行う事は不可能だろうと思うし、そんな事をしても世界は平和にならないだろうから、この建物は世界を縮図的にした表現なのでしょうね。



息子を探す為にと食事台とともに下層へ降りていく女性がいたり、1つだけ好きな私物を持ち込めるという謎設定もあったり(サーフボードを持ってきた人は何を考えてたんだろう…笑)、建物がどういう仕組みかとか、誰が管理しているのかなど気になってしまう部分は多々。


聖書や宗教観をモチーフにした描写もあるので、そのあたりに詳しいとより楽しめるかと思います。


2021/07/22(木) TSUTAYA DISCAS定額レンタルにて鑑賞。
[2021-062]
けーすけ

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