映画好きの柴犬

プラットフォームの映画好きの柴犬のレビュー・感想・評価

プラットフォーム(2019年製作の映画)
4.1
格差社会の行き着く先

 多数の階層からなり、上層からプラットフォームに載って食べ物が運ばれてくる建物に閉じ込められた男が、半年間生き残ろうとする様を描くシチュエーション・スリラー。

 ジャンル的には「CUBE」のようなシチュエーション・スリラー。そこに、「スノー・ピアサー」のような格差社会を象徴した構造を取り入れたもの。最初は、そこそこ面白いシチュエーション・スリラーだなという印象だったんだけど、いろんな人のレビューを読んだりしているうちに、評価爆上がり。

 富の象徴を上位から分配される食べ物に限ったことと、富が保証されないという状況を作ったことが秀逸。他のシチュエーション・スリラーが生死をかけたエゴが全面に押し出されているのに対して、シンプルな富の分配システムを取り入れることで、人間の社会的、政治的、宗教的な側面が浮き彫りになっている。そして、現実社会と対比して、色々と考えをめぐらせることができる。

 謎解きが主題ではないので、作品としての結末をつけるため、終盤はかなり宗教的になってる。いろいろ話を膨らませることはできそうだけど、安易な謎解き設定を加えた続編だけはやめてほしいな。