ポメラニアン戦士

プラットフォームのポメラニアン戦士のネタバレレビュー・内容・結末

プラットフォーム(2019年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

設定も面白いし、このシステムが一体何を表しているのかもある程度しっかり推測できるところがとても良かった。
絶望的なシチュエーションが舞台の作品鑑賞中によく、『じゃあこうしたらいいじゃん』とおばかな登場人物に対して思うのだが、食べ物を制限時間外まで取っておくと死んでしまうほど暑くなるか寒くなる、など強固たるルール設定がされているところも鑑賞後にモヤモヤすることがなく良い。
『一人ひとりがちゃんと必要な分だけを取れば富は全員に分配されるはずだ』という考えは、頭では分かっていても自分が次は下の階層に行くのかもしれない状況では、上にいる人は下にいる人を考える余裕がない。また、下にいる人は上にいる人に言葉こそかけられるがそれには影響力があまりなく、それ以外の抗議方法はない。
1番下の階層が333階で、まさかの子供がいて、その子が上に昇っていく姿でこの映画が終わる。『そうくるか!』と思えてとても楽しめた。この作品に込められたメッセージ性は確立しているため、結局主人公がどうなったのか、この"穴"のシステムは変わったのかなど観客に結の部分をまるなげしてもそこまでモヤモヤすることなく十分に楽しめた。
上ってきた子供が"伝言"になりこの絶望的なシステムが良い方向に変わるか、結局何も変わらず底辺まできた主人公は少女がどうなったかすらわからないまま、などさまざまな想像ができる。しかしどの終わり方であったとしても、この社会のあり方を表すことになるし、どの終わり方を想像するかでその人の社会に対する捉え方がわかるんじゃないだろうか。