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プラットフォームのKKのレビュー・感想・評価

プラットフォーム(2019年製作の映画)
3.9
アマプラにて。

予告だけ見て妙に面白そうだと思った作品。
Filmarksの評価も低いし、こういう作品は予告詐欺なことも多いからそんな期待せずに鑑賞。

結果、想像以上に面白かった。

構成としては、『CUBE』に似てるような気もするけど、個人的にはこっちの方が好きだったかも。

・気付いたら出口のない部屋
・部屋の中央には四角い穴
・壁には自分がいる階数が書かれている
・全部で何階あるかは不明
・同じ部屋にはもう1人の人間がいる
・食べ物は1階から順に降りてくる
・1ヶ月ごとに階層が変わる

ルールとしては意味不明だし、何故この建物が作られて、どうやってこのルールを実行してるのかは不明。
だけど、もしこのルールの世界が存在したら、人はどう行動するのか。あくまで想像だけど、結構真実に近いものなんじゃないか。

いつ出られるか分からない。下の階層に行けば1ヶ月飯が食べられない。そんな極限状態で、「人を食べる」という発想に至る人はどれくらいいるのだろうか。

自分がそういう映画や本ばっか読んできたからかもしれないが、そんなありえないことではないんじゃないかとも思ってしまった。

人を食べるくらいなら、飢え死にするか自死するか、普通ならそんな思考にはなりそうだけど、もし同じ階層の人に自分が食べられそうになった時、同じことが言えるだろうか。

主人公であるゴレンは、救世主的な立ち位置だけど、感性は普通の人間に近い気もする。

初めは自分なりの正義感を持ってるが、現実と他人の悪意を見ることで、何が正しいのか分からなくなってくる。

自分が正しいと思っていたものは、必ずしも正しくはない。生死という極限状態の中で、人が人でなくなる瞬間がある。

そこに適応しようとしたゴレンを、誰も責めることはできない。


この作品が面白かった理由はそこかも。ゴレンという普通の人間=自分が、極限状態になった時、生きるために手段を選べなくなった時、生きるために選んだ選択肢は全て正当化される。そんな事実が心地よかったのかもしれない。

つまり、ゴレンは自分にとっての救世主だったのかも。自己の正当化。生きるためなら何をしても仕方がない。


ゴレン=キリストとか、聖書になぞらえてこの作品を考察してる人も結構いる。それもめっちゃ面白いし、深い考察にもなりそう。

ただ個人的には、「もし現実世界でこの状況に陥ったら」と想像する方が好きだったりする。
どういう意図でこの作品作ったのか考えるのも楽しいけど、自分だったらどうする?って妄想するのもめっちゃ好き。

分かる人いるんかな笑
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