キラリ

プラットフォームのキラリのレビュー・感想・評価

プラットフォーム(2019年製作の映画)
3.3
“三種類の人間がいる 上にいる者 下にいる者 転落する者”

映像の気持ち悪さはもとより私利私欲にまみれた人間の汚さにぞっとする映画。

不衛生極まりない描写と不潔感をこれでもかと強調しまくるカメラワークなので、潔癖気味の方は観ない方が良いと思うし、グロ耐性がない方は避けた方がいいかも。やや潔癖な私は、鑑賞後食欲がなくなったし、この手のグロ描写はかなりきつくて所々目を背けてギリギリやっと観られるレベルでした・・・映画館で鑑賞するのは絶対無理。

ディストピアに現代社会へのブラックな風刺が効いている好みの世界観だったので興味本位で観てみたけど、内容がとにかく難解。階層社会の縮図のような作品でメッセージ性は強いんだけど、クライマックスのシーンの意味は全くといっていいほど理解できなかった。考察サイトとか見てみたけど、聖書の知識がないからなのか全然わからなかったのが個人的に残念。

以前何かで、先進国で供給されている食べ物全てを平等に分配すれば、貧困で苦しむ発展途上国にも充分に行き渡り、飢餓で亡くなる人はいなくなると聞いたことがあるけど、この映画を観てその話をふと思い出してしまった。でも、現実社会ではそんな「平等」なんて言葉は綺麗事なんだよなぁ。人間なんて皆結局自分が一番大事だし、自分のことで精一杯。上にいる者は優越感に浸り、自分自身に余裕がなければ他の誰かを助けようなんて思えないし、ましてや顔も見えない知らない相手ならなおのこと。この映画が面白いのは、自分が属する階層が毎月変わっていく設定になっているところで、今日美味しいご飯が食べられたからといって、次の日も食べられるとは限らない。明日は残飯処理になるかもしれないし、来月は何も食べられないかもしれない。毎日食べることだけを必死に考えて生きている中間層の人間が自殺せず、食べられる余裕がある上位層の人間が将来の不安を思ってか余計な事を考えてしまい自殺してしまうシーンは考えさせられるシーンだった。
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