このレビューはネタバレを含みます
綺麗に盛り付けられた、大量のご馳走が段々グロテスクに見えてくる。
食べるのは自分の分だけにしようという声も虚しく、下層にいる人は、さらに下にいる人のことを考える余裕がない。それどころか鬱憤を晴らす始末。
下にいる人々に食べ物を分けるために、他人を殺す矛盾。「平和」のための「暴力」。
パンナコッタという「伝言」を頑なに守る「平和活動」。システムに抗う手段が、いつの間にか目的にすり替わってしまっていることの哀しさ。
平和の実現という理念は重要かもしれないが、お腹を空かせた子どもにまず食事を与える以上に優先すべきことはあるのだろうか。
世の中のシステムを改善する、あるいは変えるには、大人が身を粉にして子どもに未来を託さなくてはいけない。たとえ、託された子どもが行動しなかったり、「上にいる人」のせいで変わらないかもしれないとしても。