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プラットフォームのyumikoのレビュー・感想・評価

プラットフォーム(2019年製作の映画)
3.7
上下に伸びるコンクリートでできた建物に収容された人々のお話。真ん中には上から1日1回降りてくる不思議なコンクリートの台が通るだけの「穴」が開いている。(ジャケ写参照)

ある日48で目覚めた男ゴレンは、同じ階にいた老人が居て、少しずつルールがわかって来る。
・1階層には2人。
・1日1回降りてくる台には食べ物が乗っていて、一定時間で下階へ移動していく。
・台がある時は食べて良いが、食べ物を持ち出すことはできない。
・ 1ヶ月が経つと、眠らされ違う階で目覚める。
・自分の選んだアイテムを一つだけ持って行って良い。
・この建物に入る経緯は人それぞれで、志願して来るものも居る。

下にどれだけ階層があるか不明な中、その階層により降りてくる食べ物の残量が変わってくるという仕組み。綺麗に食べる人は少なく、「食べ漁った」残飯がとても汚らしい。

ゴレンは「ドンキホーテ」の本。老人は「サムライ・プラス」という包丁。48での1ヶ月で仲良くなった2人だが次の月はなんと171で目覚めたのだ。ゴレンは身動きが取れないようにがんじがらめに縛り上げられ、老人の非常食とされる羽目に。降りてくる食べ物は全く残っていない中、果たしてゴレンは食べられてしまうのか?

これは恐ろしかった。
上には声は届かない(聞く耳をもなたない)。
下には簡単に行けるが上に行くことは無理。
格差社会をそのまま写したようなこの状況がなかなかリアルでいろんなことが当てはまる。
システムの管理者には欠陥がわからない。(無駄に料理に凝っているのも)
変化は自然には起こらない。
階が上の人は下の人の考慮など全くしない。
管理者には響かないから、管理者のまさために働く労働者にメッセージを送る。
なるほどー。と。考えさせられる。
特に、ペットの犬を連れたイモギアが印象的。
下の人まで食糧が、届くように粘り強く改革しようとする。
信念の伝え方。
ペットと人の命の重さ。
下に行けば行くほど、飢えはひどく、暴力、カニバリズムに走る人々。

全体を通してワンシチュエーションで暗い。
かなりのグロがたくさん。
食べ物って紙一重で汚くなりますね。それを命のために食べるということ。まさにクソミソ一緒という汚さに、ゴアがすごく血だらけという世にも不快な画が多い。

キリスト教も入ってますが、なかなか考えさせられる、ラスト。

ぐったり疲れ、暗い気分になりますが、興味深く観ました。
うん、これは見応えある。
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