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グライド・イン・ブルーのHKのレビュー・感想・評価

グライド・イン・ブルー(1973年製作の映画)
3.9
気分でロバート・ブレイク3本立てになってしまいましたが、『冷血』は殺人犯、『破壊!』は風紀課の刑事、本作は白バイ警官です。
舞台はアリゾナ州のモニュメントバレー。
ブレイク(当時39歳)扮する主人公ジョンは真面目な白バイ警官ですが、違反切符を切ってばかりの毎日に嫌気がさし、殺人課の刑事になることを夢見ています。

原題は“ Electra Glide In Blue”。エレクトラ・グライドとはバイクの名門ハーレイ・ダビットソンの当時の最新型だそうです。イン・ブルーは白バイ警官の制服の青。
ズラリと並んだ白バイ警官の中で一人だけ頭一つ分背が低いブレイクは「オレはアラン・ラッドとピッタリ同じ身長なんだ」と女の子を口説きます。

本作は当時のアメリカのロックバンド・シカゴのプロデューサーであるジェームズ・ウイリアム・ガルシオの唯一1本の監督作という変わり種で、ニューシネマの中でもカルトに属しそうな作品です。
監督は初心者でも、『明日に向かって撃て!』など3度のアカデミー撮影賞を獲ったコンラッド・L・ホールの見応えのある映像はさすが。
本作は低予算のためガルシオは監督としての自分のギャラを丸ごとホールに充てたとか。

アメリカン・ニューシネマでバイクと言えばまず『イージー・ライダー』ですが、本作はその4年ほど後の作品。同じバイクでも体制側のため立場はむしろ正反対。
『イージー・ライダー』の写真を射撃練習の標的にするシーンもあるせいか、当初カンヌでは体制側のファシスト映画と評されたりもしたそうですがそれはあんまりです。

仕事をサボってばかりのジョンの相棒(ビリー・グリーン・ブッシュ)は、報いは必ず受けるものだと言います(オマエが言うのか!)。
ジョンが受けた報いとは、犯罪者を見逃した報いか、それとも犯罪者を殺した報いか、それとも自分自身の仕事が好きになれない報いでしょうか。
孤独が人を殺す・・・
同時期の制服警官の日常を描いた良作『センチュリアン』を思い出したりもします。

あ、ビシッとキメたスーツの下半身はパンツ一丁というシーンは松田優作のTVシリーズ『探偵物語』がオープニングでパクってましたね。
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