【1934年キネマ旬報外国映画ベストテン 第1位】
『運命の饗宴』ジュリアン・デュヴィヴィエ監督作品。シャルル・ヴィルドラックの戯曲を映画化した作品。
デュヴィヴィエ作品の良さがやっぱりあまり分からない。もちろん普通に面白い作品ではあったが。
商船テナシチーという船で展開される話、ではなくその船に乗るかどうかの話だった。カナダへ行って一花咲かせようとする二人の男だが、乗船地ル・アーヴルで会った宿屋の娘に惚れてしまい…
デュヴィヴィエらしい人情ドラマで、一定の面白さはあった。性格の違う二人の男、そして出会う女の心理を捉えている。
カナダへ行ったところで果たして幸せになれるのかという問いも含めたラストもよかった。留まる男、旅立つ男という対立構造が上手い。暖かい人情ドラマである一方、現実の厳しさを突きつけられるリアリズム映画なのも事実。そういう意味でも本作は意義深いと言えるかも。
しっかり展開もあって短い尺ながら満足の出来る作品になっていた。今まで観ることが困難だった本作、誰もが楽しめるメロドラマであることは間違いない。