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第七の封印のOmakeのレビュー・感想・評価

第七の封印(1956年製作の映画)
4.0
友達のおすすめで名作を観る週間。
たぶん、初ベルイマン。

1956年の作品で、カンヌでパルムドールにノミネートされていたらしい。2年連続だとか。

この頃はまだ映画って白黒なのかな?それともテーマがテーマだからか?
映像がとても印象的だ。既視感のある多くの映像は、多分ここにオリジナルがあるからだろう。

タイトルの第7の封印、というのは、キリスト教の聖書の最後、ヨハネの黙示録に書かれている話ということだ。

いわゆるアポカリプスというやつで、世界の終わりか?と思ってイタリア人の友達に聞いてみると、世界が終わるわけではないという。そうではなくて、神の審判がくだる日。地上の人間世界が腐敗したので、リセットされる日、という感じかな?

で、そういうテーマを持った作品なんだけれど、物語中で神の審判がくだる、というお話ではない、気がする。正直なところ消化不良だ。

舞台はヨーロッパ、十字軍遠征から帰還途中のある騎士とその従者が故郷の城に帰る所から始まる。船が難波したのか、なんなのか、浜辺に打ち上げられた場面では、遠征してからすでに10年が経過している。帰路の旅を描くオデッセイのようでもあるのだけれど、この旅に付き添うのは死(神)である。

死を目の前にして、騎士は死神にチェスの試合を申し込む。自分の命を賭けた試合で、試合が続く限りは生きながらえるという目論見だ。

この旅の間に、留守中に起こった社会の変容を目の当たりにする。巷ではペストも蔓延していたらしく、社会は荒廃している。狂信的な人々の恐怖が魔女狩りに向かわせたりする。

十字軍に参加した騎士は、自分が何のために参加したのかわからなくなる。神に仕えているはずの牧師は盗みを働くようになっている。

途中、道化芝居を演じる旅の一座と出会い、危険な森を抜けるのを助けようと旅の同行を申し出る。
神に祝福された道化師はそれを受け入れるが、ある時、騎士が死神と共にいるところを目撃して彼の元から逃げ出す。

運命の分かれ道があったわけだけれど、何がそれを分けたのか、分からなかった。

同行した者たちもなぜ死ぬ運命にあったのか?監督の故郷スウェーデンに伝わる寓話でもあるのだろうか?それとも単にペスト(死)に感染したのか?

分からないところも多々あったのだけれど、圧倒的な映像美と示唆に富む会話劇に魅了される。

もう一度見たいと思ったし、監督の他の作品も見たくなった。
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