NM

海辺のエトランゼのNMのレビュー・感想・評価

海辺のエトランゼ(2019年製作の映画)
3.5
完全にゼロ知識で視聴したので途中正直びっくりした。そこまで明け透けに描いているとは。
幸い結果はとても感動できた。かといって知識なしで観ることは薦めない。食わず嫌いで観ないことはもっと薦めない。

初々しい二人の初恋ストーリー。内容自体はいたってシンプル。ただ男性同士という一要素が加わっているだけだが、それが素直に感動できた要因だと思う。実は骨太コンセプト。

男女なら普通のことでも、彼らには言動一つ一つに重みがあるようだ。うんと返事すること。返事自体をすること。背中を押すこと、止めること。

特に相手がもともと異性愛者の場合、仮に告白してOKをもらったとしても、相手の人生に大きな何かを投じることになるという責任。当面上手く行ったとして将来どうなるか保証はない。僕が告白しなかった人生より、僕が告白した人生の方を幸せにしてやれるのか。先のことなど考えず衝動をぶつければいいのか。

みおが帰ってきたことや、しゅんが行動を起こさなかったことなども、じっくり考えた末でのこと。好きであればあるほど軽はずみな行動ができない。

男性同士の恋愛の、性的な問題を立ち入ってしっかりと描いている。そこを避けてはリアリティがかなり下がるので逃げずに描いたという印象も。

そして多くの恋愛初心者・未経験者が思い描く理想の初体験ではないかと思う。
何より彼らは、相手の同意をかなりしっかり確認した上でやっと成就した。これが当たり前なのだと教えてくれる。何も確認せず何だかよくわからないままセックスするより余程良いように思う。
性自認で喫緊に困っている方には尚更お薦め。当たり前だけど好きかそうじゃないかは最も大事。
この先ずっと仲良くしてほしい。
NM

NM