ねこ無双

カサノバのねこ無双のレビュー・感想・評価

カサノバ(1976年製作の映画)
4.0
エロティック巨大絵巻。
性豪カサノバの若き日から老いてゆくある日まで。

オープニングのパレードからもう圧倒されます。
狂乱めいた世界。
水辺にたくさんの人々、花火、水面から出てくる巨大な顔の彫像。
とても独創的な世界。
インスピレーション溢れるファッション、美術、演出。
どうしてこんなのが創造出来るんだろう。
ただ素晴らしいアートだけだったら、すぐ飽きてしまうのに、これはずっと観ていられる。

豪華絢爛なシーンはもちろんだけど、死を覚悟して白い靄の中に取り残される寂しく幻想的なシーンも素晴らしいです。
その後の巨大鯨の死骸と巨大ブランコ、集まる大道芸集団。
スノーボールの中にいるような雪景色も。
ラストの郷愁漂うベネチア回想シーンも息を呑む美しさ。

色事の描き方はエロティックよりも程遠く、アクロバティックな性行表現。
それが好きで仕方が無いというよりも、どこか強迫観念めいたものすら感じさせ、次から次へと現れては消えて行く女性たち。
果てには人形にまで欲情し、老いには勝てず絶叫するこの滑稽さ。

個性的な女性面々の中でも、ひときわ美しいのは、カサノバが唯一心から愛した女性を演ずるティナ・オーモン。
小悪魔っぽさのあるとても魅力的な美女でした。
宮廷かつらを着けてる姿よりも、現代に近いような地毛の姿の方が美しく感じます。
実は高貴な身分をうかがわせながらも、正体が何者かわからないままなのがまた良かった。