凛葉楓流

カサノバの凛葉楓流のレビュー・感想・評価

カサノバ(1976年製作の映画)
3.2
終始不快。正常位の写し方とかギャグを狙ってるのかもしれないが笑えない。ロココ期の厚化粧をした貴族王族の男女がまぐわっているのを執拗なまでに見せられる。正常位のシーンとか精力勝負みたいなの、もはやセックスでもなく、ただの動作でしかなくて、エロくもなく、インモラルなものを見せられてるだけ。ベッドシーンで必ず機械仕掛けの鳥から奇妙な音楽が鳴る。その音楽がなんかミスマッチ。その鳥の影が映し出されるんだけど、完全に陰茎。

冒頭の祭りのシーンはセットの値段とか気にしちゃったし、あの混沌とした狂乱がこの映画の主題だったんだと鑑賞後に気づいた。
けれど、直後の海のシーン!あれはわざと?ビニールの水面のチープさに一気に萎えた。人工物だよ作り物だよ、と観客に訴えかけることでメタ構造にした……とも思えないし。

構成も半端で、互いに独立した断片を繋ぎ合わせてる感じ。終盤の人形に恋するところや老年のカサノバの夢にハッとする瞬間もあった。
人形とカサノバが(カサノバも蝋人形に見える)オルゴール細工みたいにぐるぐる回ってるのはカッコよかった。

なんで腑に落ちないのかなー、と考えたら、同時代を描いていて同じような構成で同時期に撮られている、キューブリックの『バリー・リンドン』と比較しちゃうからだと思う。あの流麗さには勝てない。
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