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カサノバのcyphのレビュー・感想・評価

カサノバ(1976年製作の映画)
3.8
正直面白くもなんともないんだけど、フェリーニのハリボテ愛 虚無な豪奢フェチが狂気の域に達していてすげーものを観てる…(そして意味はわからない…)というよくわからない感動させられ方をした 実在の性豪の物語としつつもたとえば巡業中のサーカスと出会い見せ物のひとつにされてる大女に魅了されるとか、母とばったり再会して感じよくしようと心がけるものそもそも数年も連絡取ってなかったから気まずい、みたいなフェリーニあるあるが散りばめられていて結局作家性むき出しの好き放題で最高 1時間あたりの射精回数を競う余興とか、人形との性交とか、老齢の女を種付けしないといけなくなってそのへんで拾ってきた豊満な肉体の女に腰を振らせて勃起を保とうとするとか、セックスにかこつけた珍紀行でおばかでよかった

ただひとつ、客のはけたオペラハウスで無数の蝋燭に彩られたシャンデリアがひとつひとつ天井から降りてきて大きな半円の団扇で仰いで火を消していくシーン あそこだけ急に場違いなくらい荘厳で美しくてびっくりした こっち(正統な映画的美)もできんのにそっち(でっけえハリボテのお面)なんかいっていういじらしさでもある
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