なかよし

花束みたいな恋をしたのなかよしのネタバレレビュー・内容・結末

花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

細田くん(私にとっては『町田くんの世界』の町田くん)と清原さんが出てきたシーンで涙腺崩壊を迎えるこの映画。そのカタルシスの為に124分があるといっても個人的には過言ではない。
2人の流した涙の理由が別々であること。楽しかった過去を振り返って泣いている麦ともう叶わない未来を感じて泣いている絹。(なんて考察には行き着かず、私は麦の涙の理由でしか捉えられませんでしたが。)

『寝ても覚めても』との親和性
麦(むぎ/ばく)
川が見える家


映画に出てくるほぼ全カルチャーに触れてきた。きのこ帝国の『クロノスタシス』は夜道散歩しながらよく聞いたし一人カラオケで熱唱したことだってあったはず。オーサムは2015のデビューアルバムのインストアライブでタワレコ渋谷に駆けつけてサインもらった記憶もある。PORINさんは知り合いの元バンド仲間だから勝手に親近感があるし。カウリスマキの『希望のかなた』が出てきた時は空いた口を覆うことしかできなかった。渋谷ユーロスペースの記憶と結びつく。今村夏子『こちらあみ子』は最高だし。『牯嶺街少年殺人事件』は有楽町で観たよ。
世代としては長谷川白紙とか崎山蒼志も、愛しい人との共通言語になり得るから。自分は幸せな鑑賞者だなと思う。

でも、これらのカルチャーは少しマーケティングがされ過ぎている?という向きも感じはした。あとカルチャー武装というか、本当にそれ好きなの?って場面も何箇所か。サブカルワナビーって表現が的を射ている。
例えば天竺鼠。好きなライブの前、道で久々に会った男と焼肉して逃す。ましてや大学生でお金ない中で楽しみにしていたはずなのに。

「芸術は飾りではない。敵に立ち向かうための武器なのだ」

ああ反面教師にしないといけないなと。
麦が自分に重なりすぎてしまったから。仕事に追われて大事なことも人も見失ってしまいそうになる。
坂元裕二さんの脚本には心が揺らがされる。

終わってサウナ錦糸町で映画のことを思い返したことと、家に帰って録画したNHKでやっていた山口百恵の武道館ライブ見ながら白ワイン飲んだこの土曜日は忘れたくない。とても幸せだ。
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