こまつな

花束みたいな恋をしたのこまつなのネタバレレビュー・内容・結末

花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

観終わったあと、花束みたいな恋をしたっていうタイトルの意味を考えた

花束をもらった時のワクワクとか感動とか嬉しさは恋のいい部分、幸せな時間で、でも花束はいつか枯れてしまうから、幸せな時間はずっとは続かないそれを重ね合わせてるのかな
「みたいな恋」だからそんな感じしか言葉ではできないけど、もっといろんな感情が湧いた

2人の価値観が合う出会いのシーンは、そんなに合うことないでしょって思うくらいちょっと大袈裟な感じもしたけどそれすら気にならないくらい菅田将暉と有村架純の演技が自然で、ところどころ、あぁすごくわかると思う心情がとてもよかった(電車に乗ってるではなく、電車に揺られてるって表現した。とかね)
坂元裕二の脚本すごくよかったし、物語として菅田将暉と有村架純の雰囲気がとても合ってた

ただ、すれ違うっていうか、段々と身体が離れていって心も離れていく、(時間がないこと、心に余裕がないことってすごく自分がキツくて、近くにいる人に当たってしまったり、自分より時間があることに対してイライラしてしまったりして、一緒にいる人も同じくらいその雰囲気がしんどくて、)そういうシーンがすごく辛くて、その中にあるお互いの優しさがとても寂しかった
喧嘩の内容もすごくわかると思ったし、お互いがお互いの気持ちもすごくわかるから、麦は言い過ぎちゃったなって思うし、絹は言い方が良くなかったなって思うのかな
喧嘩してる流れで「じゃあ結婚しよう」って言うシーンが本当に苦しくて、レスの彼氏にプロポーズされた、まだ学生気分なのかな、っていうそれぞれの気持ちが、結婚の形が違うっていうことで

そういうしんどい時間が続いて、見てるのが辛くなって、お互い別れること決意して、最後くらいは笑ってって言う麦くんと、最後だから笑ってって言う絹ちゃん。ちょっとしか違わない言葉だけど全然違う意味で、男の人がくらい、女の人がだからっていう言葉もすごく共感する。2人が過ごした時間の感覚が違くなってしまったんだなって。
友達の結婚式の後、カラオケ行ってファミレス行って、楽しかった時間を最後に思い出して、「別れましょう」ではなくて「家は私が出てくから、」「バロンは私が欲しいけど、麦くんも同じだと思うからこれから考えていこう」とか、具体的な話を彼女からして、別れたくないって言葉にしちゃう麦くん。一時の感情には絶対揺らがなかった絹。
またここでも結婚しようって言う麦くんがほんとにきつかったし、こんな悲しいプロポーズはないって思う。恋愛として終わってる2人が結婚で繋ぎ止めるなんて、すごくて悲しいことだなって。
別れ話してる隣で、同じ出会いをしてる2人を見て、お互いの尊さを感じて、思い出して、でもやっぱり元に戻ることはできない。枯れた花束がまた咲くことはないから。それからの2人は気が楽になったのかすごくリラックスしていて、悲しかったけど、素敵な別れ方だなと思った

楽しかった時間が過去になった今、当時をたくさん思い出して、素敵だったな、好きだったな、幸せだったなって思えるそんなプレゼントだったの。

エンディングに歌詞がなかったのもすごくよかったし、すごく素敵な映画だった。
小さい画面ではなく、ぜひ映画館でまた観たいと思った
こまつな

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