みどり

花束みたいな恋をしたのみどりのレビュー・感想・評価

花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)
4.0
2021/2/3
アレックスシネマ
シネマ7


終電を逃したことがきっかけで出会った
山音麦と八谷絹

音楽、本、映画
驚くほど好きなものが似ている二人は
初めて会ったばかりなのに夢中で語り合った
話は尽きなくて
付き合うまでそう時間はかからなくて


おなじスニーカー
おなじトートバッグ
一緒に行った展示会
プレゼントしあったイヤホン
泣きながら読んだあの漫画


おなじ歩幅で
おなじものを好きで
それ以上のものなんて望んでいなかったのに

恋愛と結婚の違いとか
働くことが現状維持から
生きていくための理由に変わって
好きだったものがどうでもよくなるくらい
日々の忙しさや目まぐるしさ
気づけば価値観が変わってすれ違う切なさ

ふたりでいこうね、
そう話していた場所が
ふたりではなくて
違う誰かと行っていたことがなによりも印象的で
心にグサグサと刺さってしまった


ずっとおなじままではいられなくて
大人になってゆく
…大人になろうとしていたのかもしれない


ふたりを繋いだファミレスがあんなふうに変わってしまうだなんて…

はじまった場所がおわる

途中から空気が薄くなったみたいに息苦しくて
誰もがきっと思うはず
映画だけれど
なんだか経験したことのあるような

すれ違って
もうあの頃のようには戻れなくても
出会うべくして出会ったふたりは
絶対に間違いなんかじゃないよ


坂元裕二さんの紡ぐ言葉のひとつひとつが心地よくて
どこを切り取っても良かった
きらきら映画かと思ったら大違い
間違いなく人生の映画で

今年見た中でもいちばん刺さりました

こんなに見終わって誰かと話したい映画も久しぶりかもしれない


主演おふたりはもちろんのこと、
脇を固める方々もとっても素晴らしかったです
有村架純さんはフィルムカメラが本当に似合うなあ
みどり

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