前半と後半で別の映画を観てるのかと思ってしまった。どんな恋愛映画よりも胸が高鳴り、どんなホラー映画よりも恐怖する。
でもきっと、恋愛というものを俯瞰してみるとこれは大袈裟な表現ではなくて、
付き合いたての頃は
相手の全てが素敵に見えて、
どこに行っても何をしても嫌なところなんて目に入らなくて、
嬉しくてたまらなくて、
まるで花束を受け取った時のように、
いつまでもその鮮やかさが続くような気がしてしまう。
だけどその花は時間と共にしおれていくものでもあって、だんだんと色を失い惨めな姿になっていく。
些細なことからすれ違いが起こり、
不満に思うことが増えてきたり、
日々起こることが当たり前になり、感謝をしたり、喜ぶことをわすれてしまう。
この映画はおそらくこの世のカップルが全員体験するような出来事を描いている
だからこそ、明るい前半は見ていてとても暖かい気持ちになるし、どこかもどかしく、恥ずかしいような、恥ずかしいような気持ちになる。
一転して後半では、2人がすれ違っていく、
その些細なきっかけのひとつひとつにどこか身に覚えがあり、やめてくれ、こんな姿見せないでくれと思ってしまう。
あまりにも深い没入感。
感情移入しすぎてしまう。
主演2人の演技力に魅了された。
菅田将暉はもちろんだけど
有村架純もすごい。
絹ちゃんの猫のように気まぐれだけど、どこか芯の通った強いところをうまく演じていたと思う。
久々にとてもいい邦画に出会えた。