初っ端、「余裕のある男はだいたいこっちを見下してる」というきぬちゃんの言葉を聞いて、この映画との相性の良さを確信。本当に坂本作品は裏切らない。そして菅田将暉の鼻のつんとした感じが好き。笑
ただ、鑑賞するに連れて、少しニッチな趣味嗜好を持っていて、いわゆるサブカルチャー(もう死語かもしれません)を愛することを共通点とする2人の描かれ方に違和感。
このモヤモヤはなんだ、、？と思って観賞後に考察をちらちら観ていたら映画評論家の小野寺氏の考察を読んで腑に落ちた。
彼曰く、「本作は、ある世代の夢みがちな若者が、厳しい現実に接続され折り合いをつける姿を描くことで、同様に社会に取り込まれていったことで、行き場のなくなった若い時代の熱を鎮めてくれる役割を担っていると感じられる」とのこと。
本作を鑑賞中、ノスタルジーな世界観に耽りながらも耳が痛いような感覚になったのは、自分に重ね合わせながら見ていたこの2人がどんどん「普通」に囚われていく過程を見るのが辛かったからだと思う。好きなことだけ味わって生きていきたいけれど、でも現実的にはお金は必要だし、そのためには仕事をしなくちゃいけない。こうして社会に呑み込まれて日々を一生懸命過ごしていくと、大学時代の理想主義から責任の伴う社会人が意識する現実主義へと転換していく。むぎくんの「いつまで学生気分なんだろう」という呟きは、2人がいわゆる世間で言うところの「大人」になったという変化をくっきり浮かび上がらせる象徴的な台詞だったような。
たくさんの美しい思い出で彩られたけれどもいつかは終わってしまう（枯れてしまう）2人の花束のような恋愛を目撃することができて良かった。
