りょう

花束みたいな恋をしたのりょうのレビュー・感想・評価

花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)
4.3
「花束みたいな恋をした」という素敵なタイトルの映画を見たのに、今、超絶苦しい。きっと、たくさんの人がそう思ったように、自分のみぞおちにしっかりボディーブローが入って、息ができない。

どうして好きなのに、その人が変わることが受け入れられないんだろう。どうして二人なのに一人の寂しさより寂しいのだろう。あの倦怠期の絶対噛み合わない感。

麦と絹の結末とは違ったけど、学生時代〜社会人にかけておんなじような経験をしました(自分の場合は単にフラれたのだけど…笑)。自分の好きな人が、自分の知らない世界に入っていくのって不安。嫉妬なのかもしれないし、相手を信用していないのかもしれないし。ずっと一緒にいればいるほど、相手に疎かになるのに、離れるのが怖すぎて負のスパイラル。少しずつ化けの皮が剥がれて明らかになる価値観の違い。

"じゃあ"結婚しよう。なんかすっごい分かってしまった。こんなに長く一緒にいるんだし、一生懸命仕事してるんだし、もう26になるんだし、とか。こんなことが、"じゃあ"を産み出す。自分がそうだったなぁ。こういう時女性の方がちゃんと決断できる。

花束みたいな恋をした、ってどういう意味なんだろう。花束ってもらった時はとても綺麗で明るいけど、日に日にしおれて、枯れていってしまう。そんな悲しい意味なのかな。それとも、別れた二人はお互いの道で幸せに暮らしてて、でもあの時経験したことは二人の人生にとっては花束のプレゼントのようなものだったのかな。後者の意味であってほしいな。

学生時代のボロいアパートで、寝起きのベッドでの有村架純のかわいさ半端なかった。あと、パフェ越しのスマホカメラで告白、そしてピントが絹に合う、っていう演出!思わずにやけました。

同じ空間に一緒にいるのに別々のことをしている、ことがとても自然で愛おしく感じることもあれば、とても距離感を感じることもあったり。

とても支離滅裂だけど、自分の半径数メートルで起きたことが、この映画にたくさん詰まっていて、だからこそ素敵な顔してボディーブロー決めてくる。でも時間経ったお茶みたいちょっと苦いけど、ちょうどいいって思える映画。きっとまたこの作品を見てあの頃を振り返ったり、今を思い返したりするだろう。

自分にとってもこの作品は花束だった。
りょう

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