MidoriK

花束みたいな恋をしたのMidoriKのネタバレレビュー・内容・結末

花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

凄くいい映画でした。名作というか凄く質の良い作品でした。

菅田将暉と有村架純の演技が生活感があってとっても良かった。台詞のセンスももちろん、その台詞を言う2人の話し方が絶妙に上手かった。
テンションが上がった時とか、得意気に話す時とか、同じものが好きだと分かった時の嬉しそうな話し方が、自分も横の席で2人の会話を聞いているような気分になれました。

あとカラオケを歌っている時の2人のノリ、手の動かし方が本当に素で歌っているようで、何故か胸が切なくなりました。

だからこそ、時代が変わっていって、2人が変わっていく様子も如実に表れていて、現実味がありました。
特に菅田将暉演じる麦の顔つきや喋り方によく表されていて、あぁ学生から社会人になった人あるあるだなぁと思いました。
カルチャーに興味がなくなっていって、ビジネス書を手に取るシーン、それをみる絹の寂しそうな顔が辛かった。

絹はきっと、親とは反対のポリシーで生きて行きたくて(好きなことで仕事をして生きて行きたい)、それを実現していたという面でも麦に惹かれていたのかもしれない。
だから変わっていく麦を見たくなかったし、なんなら自分は原点に戻ろうと転職を決意したのかも。

すれ違っていった2人は止められなくて、連絡を取り合わないからスーパーで鉢合わせしたりする。
そういう些細な演出が上手かったです。
次のステージというより今の状況の打開策としてのプロポーズは見てられなかったです。

とても現実味があってある意味モヤモヤしていたのですが、別れのシーンで思いっきり泣いてしまいました。
前回とは少し違う、でも結局「2人ではどうにもならないから」という理由で言われてるかのような再プロポーズ。
そんな時に現れた、昔の2人かと思うほどそっくりな若いカップル。
そのカップルに戻れない愛おしい過去を重ねて見た麦と絹は、現実を突きつけられて号泣します。
あのシーンが切なくて、綺麗でした。

別れた後の同居生活は打って変わってカラフルで、食事までカラフルでした。

2020年に再会するけど、2人は戻ることはないのかな。
と思うけど、個人的にはなんらかの希望を持っていたいです。

ちょっと麦は都会と社会に染まってしまった感は否めませんが、本質的なものは変わっていなそうです。
冒頭の再会シーンで2人はお互いの会話に聞き耳を立てていたし、
相手が自分を思い出したりしてないか考えたりしていたし、
そういう風に相手を考える時間があるのは好きになっていくということかも、と出逢いてたての時に絹が語っていましたよね。

そして何よりバロンがいます。
花の名前の話を絹がしていましたが、麦はバロンを見る度に絹を思い出しているのではないでしょうか。

別れていても、5年間の思い出も絹のこともずっと愛しているんだなと、
Googleマップで2人を見つけた麦の顔がそう思わせてくれました。
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