皿もげ

花束みたいな恋をしたの皿もげのレビュー・感想・評価

花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)
5.0
思春期のころに年の離れた姉から文化(本や音楽や映画や漫画やら)の影響をビシバシ受け、そこにお笑いやら美術への興味やらの自分の好みや自身の経験で得たものたちが折り重なったのが今の自分。
恥ずかしながらそれをアイデンティティとしてきて己を保ってきた。
そういった「文化によるアイデンティティを保つ男女」の恋愛を映像で見せられて、もうやめてくれ!!!たのむから!!!と脳内で叫びながらも、己の体験と擦り合わせ、ときめき、苦しくなり、泣いた。
あと、きっと自分がアイデンティティとしてきたものは「大流行してるもの」ではないにせよテンプレめいているし自分自身も結局ハンコのひとつなんだよなあ、とも思わせられて、鑑賞した夜は眠りが浅くなった。
すごくすきなものが、すきだったもの、になることは悪いことではないけど、その変化は寂しいことだなと思う。
変化はいつもすこし寂しい。
それきっかけでいろんなことが進んだり狂ったり壊れたり苦しくなったり。
そこに向き合う男女比の表現が、ものすごく巧みで驚いた。
女は折り合いをつけるのがうまいところとか。

万人に響くように、でもその一部の人により深くじっとり刺さる描き方が本当に上手な坂元裕二さんは意地悪な天才だと思うし、菅田将暉と有村架純主演の暴力映画だと思う(とても褒め言葉)
皿もげ

皿もげ