のふのふ

花束みたいな恋をしたののふのふのレビュー・感想・評価

花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)
4.8
〝出会いは常に別れを内在し、恋愛はパーティーのようにいつしか終わる。だから恋する者たちは好きなものを持ち寄ってテーブルを挟み、お喋りをし、その切なさを楽しむしかないのだ〟


東京・京王線の明大前駅で終電を逃したことから偶然に出会った大学生の山音麦と八谷絹。好きな音楽や映画がほとんど同じだったことから、恋に落ちた麦と絹は、大学卒業後フリーターをしながら同棲をスタートさせる。日常でどんなことが起こっても、日々の現状維持を目標に2人は就職活動を続けるが……。


趣味で意気投合し2人は愛を育む。
しかし、それぞれが社会に出ると仕事、お金、生活するために趣味から遠ざかることで静かに壊れていく...
この膨大なカルチャーに溢れるこの世界でお互いの趣味嗜好がばっちし合った合わせ鏡のような2人。
それだけで突き進んでしまう脆さ



印象的な台詞も多かったですね!
〝女の子に花の名前を教わると、男の子はその花を見るたびに一生その子のこと思だしちゃうんだって〟

〝一度別れを考えるとかさぶたみたいに剥がしたくなる〟

〝同じ曲を聴いているつもりだろうけど、彼女と彼は今別の曲を聴いているの〟




そして、awsome city clubやフレンズ、ボソボソ喋る押井守、マニアックな映画と言ってドヤ顔で「ショーシャンクの空に」をあげる男。
ファミレスで若いカップルが出てきた時のきのこ帝国→羊文学の世代交代感。
ワンオク聴くかという質問に〝聴けます〟と答える麦。
劇中で出てくるポップカルチャーの大洪水でまるで本当に麦と絹が現実世界にいるようなリアリティさ!




以上、「花束みたいな恋をした」。
改めて「500日のサマー」「ブルーバレンタイン」「テイクディスワルツ」みたいな愛への諦念、脆さを描いた映画好きだなーー!

いつかの花束みたいな恋をした一瞬の輝きが心を照らしてくれる。
カップル崩壊ものなはずなのにポップなラストの着地も素敵でした!
むしろカップルで観るべき映画だと思う!笑
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