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花束みたいな恋をしたのなのレビュー・感想・評価

花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)
5.0
好意を抱いてる女の子に、自分の描く絵を認めてもらえた。
あの時の嬉しさを、今の麦くんは同じ鮮度で思い出せるだろうか。
好きなものへの熱意を失うほど仕事に身を捧げ、正解の人生を歩むのっぺらぼうな大人になっていく姿、
痛々しかったし、他人事じゃないしで見てて辛かった。
あんなにあどけなかった麦くんが…。

対して絹ちゃんは、学生時代から自分の価値基準を確立してて、軸がぶれない。
ラーメンブログももしかしたら麦くんに教えてないのでは。
自分の中だけで完結させて、それで満足できる人だと思う。
あの家族とは心底話が合わないだろうな。
ずっとずっと、居心地の悪い思いをし続けてきたんだ。

趣味の合う心優しい二人の生活は、本当に可愛らしくてあたたかく見守りたい!って感じだったけど、
だんだんと歪みが生じて。
転職を決めた絹ちゃんに麦くんが投げつけた言葉、あまりに無神経でひどかった。
彼の不安やストレス、追い詰められっぷりが表れてた。
いやしかし転職する人にいちばん言ってはいけない言葉。

プロポーズも、変なタイミングで何回かしていたけれど
あんなに嬉しくないプロポーズはない。
ここが年貢の納め時、みたいな旧来的な考え方、どこで植え付けられてきたんだ。
会社か。

個人を蝕むような会社が悪い。そう思う。
そんな会社がごまんとあるのが現状。
最後の場面の服装や立ち居振る舞いから察するに、麦くん転職したのかな。
だといいなと思う。
いったん我に帰るという意味で、最初に入った会社を辞めることは支持したい。
きのこ帝国が、とか今村さんが、とかってモノローグで言ってたし、趣味への興味を取り戻す程度には余裕がでてきたみたいで良かった。

今村さんといえば、あみ子の衝撃が強くてピクニックの内容一切覚えてない自分、恋のチャンスをひとつ逃した気分。
な