リーアム兄さん

花束みたいな恋をしたのリーアム兄さんのレビュー・感想・評価

花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)
3.9
【好きなセリフ】
八谷絹「2014年のワールドカップ。開催国ブラジルはドイツに1-7の大敗を喫した。あの時のブラジル国民よりも私はまだマシだ。」

2015年から2020年までの八谷絹(有村架純)と山音麦(菅田将暉)という1組のカップルの物語。たまたま終電を逃した二人が出会い、お互いの共通の趣味の話題で盛り上がり、愛を育み、共に歩んだ4年間。お互いの就活や、仕事と趣味のバランス、考え方のズレなどをいい意味で平凡にかつリアルに描く。

コロナ禍になったあと、久しぶりに映画館でみた映画。
ほとんど洋画しか見ないけど、改めて邦画の良さに気付かされた。
見終わった直後は「こんなもん?」って思っていたけど、あとからジワジワと余韻がやってくる。

大学から社会人に至るまでの環境をリアルに描いているため、とても共感できるし、2人が話すテーマも2014年のワールドカップでのブラジルの大敗やSMAPの解散など2015年から2020年に起こったことに触れるため、自分も映画と一緒に時を過ごしている感覚になり、より2人の心境の変化を感じることができる。

また、その心境の変化を表す演出が素晴らしい。お揃いの靴・イアホン・服とネイルの色・近所のパン屋などすべてが距離感を表している。
麦のセリフの変化にも注目。だんだん「一緒に」ではなく「絹のためにやってあげてる」という言い方に変わっていく。

儚く虚しいストーリーなのに、リアルすぎて感動や涙より共感が勝ってしまう。

ストーリー構成・演出、俳優の演技すべてが素晴らしい映画だった。