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花束みたいな恋をしたのmamecoのレビュー・感想・評価

花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)
4.0
終電を逃してたまたま出会った相手が、好きな作家も履いてるスニーカーも行きそびれたライブも何もかもが共通点だらけって、んな奇跡みたいなこと現実にあるかーーい! と思ったアラフォーの私は、映画館うしろで泣いていたであろう高校生大学生カップルたちと全然違うフィルターで観てただろうな。君たちは、これからきっと、絹や麦みたいな出会いや別れをしていっぱい傷ついて泣いて、大人になってくんだね、と思ったら何かこっそり微笑ましかった。

毎日が幸せに包まれてる2人がきらきらしてて本当に可愛くて、2人の部屋もセンス良くて観ていてこちらまで幸せ。だんだん環境が変わってすれ違って、こんなはずじゃないのにってどんどん距離を感じ始める落差も、余計に冷えきった空気感を感じられて良かった。主演二人の表情がさすがすぎるっ

別れはしたもののこんな運命的で奇跡的な出会いはありえんだろ、と思っちゃったけど、高校生から付き合って結婚して16年目のうちらが今でも変わらずに手を繋いでくっついて眠る相手に出会えたことの方が、よっぽど奇跡的かもと思えて回り回って、改めて自分てなんて幸せ者やと思った映画でした。



あんなに共通言語だらけで、双子のテレパシーレベルで相手の思ってることが分かっちゃうくらい感覚が似てても、気持ちの波次第で会話がなくなって居心地悪くなってしまうって、恋愛って面白い。じゃあ結婚しても2人で幸せであり続けるのに必要なのって?って考えたら、やっぱ相手への尊敬と相手を想える時間があることじゃないかな。忙しいは心を亡くすのです。
リスペクトと心の余裕と好きなものが同じ、があれば一生無敵な気がする。

麦くんと絹ちゃんも自分たちが向き合えてないって気付きはじめた頃に、麦くんが仕事辞めてもっと麦くんらしくいられるところで働けてたら、結婚して子どもが出来ておじいちゃんおばあちゃんになっても変わらず細やかなことで笑い合ってる二人だったんじゃないかな。
でも目の前のこととやっぱり自分の物差しでしか考えられないのが若さで、それを積み重ねた時間があるからこそ、それって気付けることなんだろう。

何か今回の作品でこんなにぽつぽつ色んなことを考えるとは思わなかった。年齢や観る人の恋愛遍歴でこんなに見方や温度感が変わる映画って貴重かも。
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