ウギャァァァーーッ! もうやめてくれーーーッ!
観ていていろいろグサグサ刺ったお話。
面白かった、という言い方がふさわしいかどうかは悩みどころですけど、すごかったことだけは間違いありません。
序盤、主人公ふたりの造形というか、彼らの〝若さ〟の表現が本当に容赦ない。
賢しらに、かつ得意げに開陳される、彼や彼女の趣味嗜好。〝普通〟とは違う自分への浅はかな自己愛。
あまりの浅薄さに見ていて背筋が痒くなるほどで、特に自分語り的な独白の多用がそのむず痒さに拍車をかけるんですけど、でもそれを呑気に冷めた目で見ていられたのは序盤だけのこと。
最終的にはそれが全部、そのまま自分に跳ね返ってくるのだからとんでもないです。
ところどころに散りばめられた細かい要素の、少なくともどれかいくつかは必ず「自分にも似たような経験がある」と思わせてくる、この〝物語を他人事にさせてくれない〟手管が凄まじい。
ただ幸せだったり不幸だったりするだけでなく、そこには常に未熟さや幼さのようなものが伴っていて、どうしても記憶の底の「過去の自分」を呼び覚まされてしまう。
そしてその瞬間、序盤のあの浅薄さについても、
「よくよく考えたら個々のモノが違うだけで、はたから見たら自分もこんなもんだった」
と理解せざるを得なくなってしまう、という、その容赦のない構造にズタボロにされました。
結局、この映画を観るような人生であるという時点で、みんな等しく「魔女宅実写版の人」なんだよ、という地獄のデッドロック。
と、言ってはさすがに言い過ぎなんですけど、自分にとってはそうでした。
序盤、うわついた脳内モノローグの連打が本当にきつかったんですけど、それも中盤以降は全然なくなるのでひと安心。
凄まじい映画で、面白かった、という言葉はやっぱりニュアンスが違う気がしちゃうんですけど、少なくとも「見てよかった」というのは事実です。
いろいろとてつもない作品でした。