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花束みたいな恋をしたのcocoのネタバレレビュー・内容・結末

花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

本を沢山読む人は、言葉を大切に、そして言葉で丁寧に表現する人がいるから好き。
二人がお互いの言葉を汲み取って、相手を思いながら言葉を交わしていた会話。全部素敵だった。

恋愛って、ロマンスの割合より現実とどう向き合うか悩む時間の方が長い気がする。
例えば同棲は、個として生きている人間が、他人と生活を共にしていくということ。すごく難しい。
相手のことがどんなに好きでも、愛していても、その二人が一緒に生きていくことができるかはまた別の話。
若かった二人が、それぞれの人生を生きていくうちに価値観も変わっていき、変化していく。

あんなに本とそれから得る言葉が好きだった麦が、「人生の成功法」みたいな本を読んでいるシーンが切なかった。求めている言葉が、こんなにも変わってしまうことって、あるんだろうな。

その生活の先にあった、最悪なプロポーズ。
二人の生活をどうしても守らなきゃいけないというエゴ。それへの執着。
別れって辛い。二人で居ることが正解じゃなくても、それを分かっていても離れ難いだろうな。四年って長いもん。

そして変わっていった二人が分かるラストのファミレスのシーン。

絹が別れ、という言葉を口にしなかったのが印象的だった。
強い言葉で、二人が離れていっちゃうことが怖かったんだろうなと思う。

その後初デートの時の絹と麦みたいな若いカップルを見かけて、出会った時とはお互い全く違うふうに変わっていってしまったと自覚する。

花。咲いている時は綺麗だけど、必ず枯れていく。でもそれは、終わりではなく、子孫を残す種となっていく。その花のように、二人が共にすごした時間は、お互いの人生の糧となっていったんだろうな。
二人とも、マーガレットを見る度にお互いのことを思い出すんだろう。

どんなに悲しい恋も、始まらなくて良かったなんてことはないと思う。
その人と出会わなければ、経験できなかった気持ちがあると私は思う。全ての出会いと別れに意味があり、その思い出は経験した人を強くするんだろうと思わせてくれた。

等身大の恋愛の話だった。
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