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花束みたいな恋をしたのますのレビュー・感想・評価

花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)
4.0
「しゃらくさいサブカル人間がゴロゴロ出てくる映画」として有名な本作。自分もネタになるし見てみるか〜、と軽い気持ちで見てみたのだが、いい意味でガツンと裏切られた。

サブカル好きでちょっと夢見がちなふたりの「よくある恋愛」の描き方がもうそれはそれは丁寧で、心の柔らかい部分を容赦なく刺激される。穂村弘や天竺鼠で盛り上がるサブカルっぷりには笑ってしまうけれど、それを90年代アニメラノベ漫画に置き換えれば自分にもがっつり該当してしまうし(というかゴールデンカムイや宝石の国を拾ってるあたりほぼ同類)、その上恋愛における我慢の仕方やぶつかり方や人生に対する適当すぎる態度に覚えがありすぎて最早しんどいレベル。(余談だが、自分も就職をきっかけにすれ違ってしまったことがあったので「あるある〜!もうわかりすぎてキツいからやめてくれ〜!」となってしまった。)
そしていつしか、鼻についたサブカル好きのしゃらくささが愛おしく感じられるようになっていき、後半悲しみのパズドラ民と化す麦くんを見た時は、こちらも胸が痛くなってしまった。(このあたりの菅田将暉の演技がすごく上手い。麦くんという人間が存在している。)

本作で何より良かったのはラストで、確かにこれは「花束みたいな」と形容される恋に相応しかった。鑑賞後、恋愛をしたいという気持ちにさせてくれるのも素晴らしい。

(個人的には舞台が京王線沿線、しかも調布なのがとてもよかった。中央線の中野〜吉祥寺ラインになるとやや味の濃いサブカルになってしまうが、明大前〜調布〜飛田給あたりだと、とたんに妙なリアルさが出るんだよな。絹ちゃんは親も広告代理店だし、明治大学附属高校とか出てるんじゃないだろうか。)
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