せがみ

花束みたいな恋をしたのせがみのネタバレレビュー・内容・結末

花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

この作品を「よかったよ。大人ならみんなあるあると思える恋愛の話。大学時代ってそんなキラキラしたもんでもないんだよって、10代の若い子にも観て感じてほしい」と当時の彼氏が言うので、気になって視聴。たまたまガスタンクを見て、さわやかのハンバーグを食べた日だった(今気付いたけど、相手にとってはたまたまじゃなかったのか)。風呂に入るのに腰が重いわたしに、絹ちゃんのお母さんの台詞を引用してきたのも思い返すとちょっと面白い。

誰しもに思い当たる恋愛の記憶。序盤の運命的な出会いは出来すぎ感あったけど、生活を共にするなかでの楽しさやすれ違い、本当にリアルだったな。最後のファミレスのシーンはうるっときた。悲しいだけではない、前向きな恋の終わり。どちらの気持ちも分かるのがまた辛い。
そして、「花束みたいな恋をした」というタイトルがまた秀逸。過去形だし、なんせ花束だし。

さすが坂元裕二さんの脚本、心に残る台詞がたくさん。以下、気になるものを羅列。
「余裕あっていいかもって思える男は、大体こっちを見下してるだけで」
「もったいない、今話しかけないで、まだ上書きしないで。まだ昨日の夜の余韻のなかにいたいんだよ」
「社会に出るってことはね、お風呂に入るのと一緒なの。入る前は面倒くさいけど、入ってみたら、あー入ってよかったなーって思うの」
「絹ちゃんと出会って2年、楽しいことしか無かった。それをこれから先もずっと続ける。僕の人生の目標は、絹ちゃんとの現状維持です」

今村夏子のピクニック、俄然読みたい。

awesome city club の「勿忘」、本編でもエンドロールでも流れなかったのは意外だった(この曲だけは聴いたことあった)。これを機に、awesome city clubやきのこ帝国「クロノスタシス」を知ることができた。なかなかよい。

追記:
この作品きっかけで、今村夏子「ピクニック」を購入して読んだ。序盤から、なんだ?この違和感…でもすいすい読めるな…と思いながら読み切る。読み終えてからじわじわとなんとも言えない感情が。もはやホラー。自覚のない悪意と明確な悪意、取り返しのつかない嘘と恐怖と羞恥心。麦くんと絹ちゃんはこのピクニックに何を感じたんだろう、坂元裕二が台詞にこの作品を出したのはどんな意図だろう、なんていろいろ考えたりして。なかなか面白い作品だった。
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