コマミー

花束みたいな恋をしたのコマミーのレビュー・感想・評価

花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)
3.3
【壊れるフラグ】



[気まぐれ映画レビューNo.173]





今年のカンヌ映画祭で見事脚本賞を受賞した"坂元裕二"さんと「今、会いにゆきます」などの"土井裕泰"監督が完全オリジナルで手がけたラブストーリーだ。
公開当時、まぁ結構話題になった本作だが、私はあえてそれに乗らず、デヴィッド・クローネンバーグの「クラッシュ4K」を観に行った。そして今回がやっとの鑑賞である。


率直な感想として、まぁよく出来てる物語だなと感じた。
奇跡的に"共通の趣味・感覚"などを持ち合わせたカップルの"出会いから別れまで"を描いた物語だ。と言うより、あれほど惹かれあっていた2人が"どうやって別れていったか"を描いた作品なのだ。これだけだと、人によっては「夢のようなカップル」と見たり、人によっては"フラグ"のようにも聞こえたりする。
私は後者の方だった。そして実際見ても、随所にフラグのようなものがチラホラとあり、ずーと真顔だった。それを決定づけたのが、2人が"アクセスの悪いアパート"に越してきて、"菅田将暉"さん演じる"麦"がやがて"結構ブラックな会社"に就職した所で、残酷な運命を感じたのだ。

花束というのはいわゆる切り花であり、ちゃんと手入れをしないとすぐに枯れてしまう。根を張って咲いてる花より枯れやすいのが、切り花が使われる花束なのだ。2人にはそんな"繊細さ"があり、ふとした瞬間に"壊れやすいのだな"と感じた。そういった意味で、このような題名がつけられてるのかなと感じた。

本作は、そういったフラグを感じやすい人には物足りない作品になってしまったのかもしれない。
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